蒲田いだ耳鼻咽喉科|JR・京急蒲田駅徒歩5分|めまい・補聴器・アレルギー

主な疾患

DISEASE

主な疾患

めまい

良性発作性頭位めまい症
耳の奥には三半規管という体のバランスをとる器官があり、その根っこにある耳石という意思が傾くことにより体の位置間隔が感じることができます。この病気はその耳石がある一定量の塊として何らかの理由でずれてしまい、頭をある一定の位置に動かすと回転するようなめまい感や嘔気を起こしてしまうというものです。比較的中年以降の女性に多く、女性ホルモンとの関連も示唆されています。眼振という目の揺れを診察することでどこに耳石がずれたかを推測し、個別に治療方法を検討します。基本的には症状が治るまでは薬を使って症状を抑えながら、石をもとの位置に戻す、もしくは塊となった石をばらすためのリハビリテーションを行うことで改善が早まります。
メニエール病
疲労やストレスが引き金となり、めまい、ふらつき、耳鳴、難聴などの症状を反復する病気で、比較的働き盛りの方、特に中年の女性に多い病気です。ストレスや気圧の変化に影響を受けやすいという特徴もあります。症状の経過と聴力検査である程度の診断が可能であります。現在では造影MRIを特殊な撮影法で行うことでより確定診断に近づくことができます。治療は生活指導(睡眠衛生指導、有酸素運動、心理的なカウンセリング等)を第1とし、薬を併用することが基本となります。ここまでで8割程度の方が改善するといわれていますが、症状の改善が乏しい場合は、外圧の変化の影響を防ぐため、鼓膜チューブ留置術や中耳加圧療法を検討します。それでも改善が乏しい場合は内リンパ嚢開放術、鼓室内ステロイド注入療法、前庭神経切断術などのより侵襲的な治療を検討します。
前庭神経炎
耳の奥にあり体のバランスをとっている三半規管と脳をつなぐ神経を前庭神経といいますが、その前庭神経がウイルスの感染等の原因で炎症を起こすことにより、片側の三半規管の働きが落ち、左右のバランスを崩してめまいを起こしてしまう病気です。症状が激しいことが特徴で2~3日は起き上がれなくなることが多く、メニエール病のように耳鳴、難聴などの耳症状を伴わないのが特徴です。治療にはひとまずは安静の上、めまい止め、吐き気止めを使用し、後遺症予防のためステロイド投与(諸説あり)を検討したり、ある程度症状が落ち着いてからはリハビリテーションを行います。
加齢性めまい
年齢を重ねることにより、三半規管などの前庭機能も徐々に衰えます。 ほかの病気では説明のできないめまいをお持ちの60歳以上の方で、少なくとも3か月上バランスがうまく取れない、歩きづらい、ふらつきやすい、繰り返し転倒をする方の中に、検査により一般の方よりも前庭機能が低下されている方がいらっしゃいます。 リハビリテーションを行うことで、バランス機能の改善を目指します。
前庭型片頭痛
原因は三叉神経の作用など諸説ありますが、片頭痛に伴いめまいを起こす病気です。少なくとも頭痛がした場合に2回に1度はめまいを伴うことが基準となります。当然ながら片頭痛の診断が必須となりますので、脳神経内科での診察もお勧めする場合があります。メニエール病との鑑別が難しく、片頭痛の薬を試すなどして診断をつける場合があります。治療は基本的には片頭痛の治療となる生活指導、薬を用います。
小児良性発作性めまい
小児期にみられる繰り返すめまいのうち、難聴を伴わず、濃厚な片頭痛の家族歴を認めるものをいいます。音や光への過敏性や頭部運動による症状の増悪があります。乗り物酔いしやすい体質や、チーズ・チョコレートなどの摂食による症状の誘発、めまい後の眠気を訴えることもあります。これらの症状は片頭痛患者におけるものと類似しており、患児が成長とともにしばしば片頭痛を起こすようになることも併せて、本疾患は片頭痛関連疾患として位置づけられています。治療は、発症年齢が低く、まためまいの予後は良好であることから、軽症例、とくに幼少児に対しては保存的に経過観察が基本方針となります。改善が乏しい場合は薬を用いた治療や心理的アプローチを検討します。
心因性めまい
不安障害やうつ病などの精神疾患では、症状の一つとしてめまいを自覚することがあります。それらの病気が耳鼻科のめまい疾患の症状を悪化させる場合も含まれます。耳や脳には検査でも明らかな異常は認めません。
治療は生活指導が基本ですが、それでも改善しない場合は、抗精神病薬を含めた薬の使用が必要となってくる場合があります。そのため、重症度次第で心療内科や精神科での診察依頼も検討します。
PPPD
近年定義された疾患です。何らかのめまい疾患を罹患した後に、3か月以上ほぼ毎日ふらつきが持続します。
加齢性めまいと比べるとやや若年に多く、後遺症としてだけでは説明がつかず、立つときや体動や視覚からの刺激により症状が悪化するのが特徴です。現在、様々な治療などが研究されていますが、抗うつ薬や行動認知療法、リハビリテーションが効果があるとされています。
椎骨脳底動脈循環不全
体のバランス感覚を支配する小脳や、耳を支配する椎骨脳底動脈の血液の巡りが悪いことによってめまいを起こしてしまう病気です。めまい症状以外の神経症状(ろれつが回りにくい、唇がしびれる、ものが二重にみえる)が起こる場合はこの病気を疑う必要があります。持病に高血圧、高脂血症、糖尿病があったり、喫煙量が多い人に起こりやすい特徴があります。
頸性めまい
頸椎(首の骨)の中を走行し、内耳へ血液を供給する椎骨動脈が、首をひねることにより狭くなり、内耳への血液が不足して起こる病気です。血管が細くなってしまった原因を調べる必要がありますが、もともと細い場合などは首をひねらないようにするなど、生活スタイルに気をつけることが治療になります。
起立性低血圧
立ち上がった時に脳へいく血液が足りなくなり、立ちくらみを起こしてしまう病気です。原因としては、神経に関係する病気が考えられる他、高血圧に対する薬を飲み過ぎている場合や、前立腺肥大の薬、精神安定剤などで発症する場合があり、その場合内服薬の調節で症状が改善することが多いです。低血圧が原因でこの病気になってしまう場合は、低血圧に対する治療が必要になります。思春期にこの病気のなってしまった場合は成長とともに改善する場合が多いです。血圧を計る検査で病気の予測を行うことができます。
脳脊髄液減少症
脳や脊髄の周囲を満たしている脳脊髄液が減ることにより、起き上がる姿勢を取ったとき、立ち上がったときなどにめまい、ふらつき、頭痛を起こしてしまう病気です。頭や体をぶつけたり、出産などを契機に発症する場合があります。眼がぼやける、手足がしびれるなどの神経症状が出ることもあります。重心動揺計検査で異常値を示すことでこの病気が疑われます。安静により完全に治ることもありますが、脊髄への注射治療など、特別な治療法を必要とすることもあります。

耳疾患

急性中耳炎
鼓膜の内側の中耳という場所に膿がたまって聞こえが悪くなったり、膿がたまりすぎて鼓膜を圧迫し、耳の痛みが現れるなどの症状を起こします。主に急性鼻炎に引き続いて起こります。炎症の程度がひどくなり鼓膜に穴が開いてしますと耳だれが出ることもあります。基本t系には抗生剤の内服と鼻炎の治療で完治しますが、幼少児の場合頻回に繰り返したり、滲出性中耳炎という病気に移行し、治癒に時間がかかることもあります。
外耳炎
鼓膜より概則の耳の部分である外耳道と呼ばれる場所に炎症を起こした状態です。主に耳掃除などなどの耳のさわり過ぎによて起こることが多い病気です。症状が悪化すると耳だれが出ることがあります。外耳道内を清掃し、炎症を抑える軟膏や点耳薬を使用することにより治療を行います。耳をさわっていると治りが悪くなるので、かゆみ止めなどを使って耳の安静を図ることも重要な治療になります。
外耳道異物
外耳道内に虫や玩具などが入って取れなくなった状態です。昆虫やクモなどはせまいところに入り込む性質がありますし、また子供は遊んでいて鼻や耳におもちゃなどをわざと入れてしまうことがあります。自分で除去しようとするとますます除去困難となる場合があり、自宅で取り出せなくなってしまった場合は、耳鼻咽喉科に受診しましょう。専門医での除去をお勧めします。
外耳道真菌症
外耳道に炎症が起き、そこにカビがついてしまう病気です。外耳炎に続いて起こることが多い病気です。培養検査などで診断を行った後、外耳道を清掃し、炎症やカビを抑える軟膏を塗布して治療します。できるだけ早期に治癒に導くためには少し間隔を狭めた通院治療が必要となることがあります。
滲出性中耳炎
鼓膜の内側の中耳という場所に滲出液がたまり、聞こえが悪くなる病気です。あまりに長期にわたり浸出液が溜まったままの場合は耳の発育成長に悪影響を及ぼし、大人になったとき慢性中耳炎や真珠腫性中耳炎などの病気の原因になることがあります。治療は鼻炎の治療を中心に行いますが、治りが悪い場合は鼓膜切開、鼓膜チューブ留置術を検討する場合もあります。一見症状のない病気ですので見逃されることもある疾患ですが、合併症予防のためにも完全に治るまでしっかりと治療を行う必要があります。
真珠腫性中耳炎
鼓膜の内側の中耳に皮膚の一部が入り込み、そこで皮膚からの落屑物が蓄積し、炎症を起こすことで耳の骨を壊していく病気です。生まれながらに皮膚の組織が鼓膜の内側にあることで発症する先天性真珠腫という病気もあります。外来で落屑物を清掃し、炎症をコントロールすることで症状の進行を抑えることができますが、病気の進行度合いによっては手術によって炎症物質を完全に取り除かなければならない場合もあります。
慢性中耳炎
幼少時に滲出性中耳炎の治療が充分に行われなかったり、鼓膜の内側の中耳で炎症を繰り返したりすることで、主に成人以降に発症する慢性の炎症性疾患です。耳だれなどを繰り返すことにより、徐々に難聴が進行する場合があります。耳だれが起こった場合は早めに専門医を受診し、炎症をできるだけ早期に抑えて、耳内の状態を安定させることが大切です。
突発性難聴
ある日突然、片側の聞こえ(両側はまれ)が悪くなる病気です。原因は内耳神経(聞こえに係わる神経)へのウイルスの感染などいくつかの可能性が言われていますがはっきりとしていません。難聴の症状が強い場合はめまいを伴うことがあります。症状が起こってから1週間以上経過して治療を開始した場合、治癒率が低下するといわれていますので、聞こえがおかしいと思ったら早めに専門医に診てもらいましょう。聴力検査を行い、必要な場合ステロイド剤などを用いた治療を行います。
加齢性難聴
加齢の影響により徐々に進行する難聴を加齢性難聴といいます。難聴は左右が同程度にゆっくりと進行するという特徴がありますが、ある日突然聞こえが悪くなった様に感じる場合もあります。聴力検査を行うと高い音の聞き取りが悪くなる検査結果となり、経過と合わせて診断が可能となります。一般に治療は困難であり、生活習慣病などの予防により進行を抑えることが大切になります。難聴による生活上の支障が大きい場合は補聴器をお勧めしています。加齢性難聴の場合、聞き取りだけでなく、言葉の理解力も落ちるといわれており、周囲の人はゆっくりと大きな声で話しかけてあげるなどの配慮が必要となります。
騒音性難聴
工場や空港など、騒音環境での就業期間が長かったり、騒音のする場所に長期間いると、それにより耳の神経が少しずつダメージを受け、難聴に至る場合を騒音性難聴といいます。聴力検査を行うと、4000Hzの聞き取りだけが極端に悪くなる“C5dip”と呼ばれる特徴的な検査結果となり、発症の経過と合わせて診断が可能となります。進行してしまった難聴を治すことは難しく、これ以上難聴を進行させないために、環境整備を行うことが大切になります。
音響外傷
機能性難聴
実際には聴力に問題がないのに、聴力検査では難聴の結果を示す状態をいいます。機能性難聴は心因性難聴(自分が聞こえないと思い込んでいる)と詐聴(聞こえないふりをしている)に分けられ、心因性難聴は学童期や思春期のお子様に時々認められます。検査上問題がないことを確認した後、本人に心配ないことをカウンセリングを交えながら説明することでほとんどの症例で徐々に改善します。心因性難聴は詐聴と異なり、本人に悪気があるわけではないので、責めたりせずに本人を安心、納得させることが大切です。
遺伝性難聴
生まれながらの難聴(先天性難聴)や、様々な年齢から発症する難聴(遅発性難聴)のなかに、遺伝性難聴が多く含まれていることが最近分かってきました。遅発性難聴は、加齢性難聴よりもずっと若い時期から難聴が徐々に進行していくことが病気の特徴です。最近では遺伝性難聴に対して採血による遺伝子解析を行い、病気の進行予防や今後の見通し、自分の子供への遺伝確率などが分かるようになってきました。遺伝性難聴が疑われる患者さんは、精密検査のできる専門の病院を紹介させて頂きます。
両側性特発性感音難聴
内耳自己免疫病
耳硬化症
鼓膜の裏で音を伝える働きのある耳小骨の動きが悪くなり、難聴を起こしてしまう病気です。日本人では約400人に1人が発症し、女性が男性の2倍多く発症します。鼓膜所見は正常にもかかわらず、聴力検査で気導骨導差(A-B gap)が大きく出ることが特徴です。根本的な治療には手術が必要となりますが、他の難聴の病気と比較して補聴器の効果が高いという特徴もあります。
外リンパ瘻
物を持ち上げる、力を入れる、鼻をかむなどの日常生活動作をきっかけとして、耳の奥にある内耳と呼ばれる部分に小さな穴が開き、中にあるリンパ液が漏れ出すことでめまいや難聴を起こしてしまう病気です。突発性難聴との見極めが必要になりますが、突発性難聴と異なり、力を入れたときに症状が現れる、難聴が進行性に増悪する、病気が起こったときに“水の流れる音が聞こえる”などの特徴もあります。安静にしていることで改善する場合もありますが、症状が重症の場合は開いた穴を塞ぐ手術が必要となることもあります。
耳管開放症
耳と鼻の奥をつないでいる耳管という管がありますが、通常この管で唾を飲み込んだ時に開いて耳の換気を行います。耳管開放症はこの管が開きっぱなしになる病気です。主な症状は自分の声が直接耳に響く(自声強聴)、自分の呼吸音が聞こえる、耳が詰まった感じがする、などです。体重減少、加齢性変化、妊娠などの原因により起こります。治療法としては、体重を戻す、生理食塩水の点鼻を使う、鼻から綿棒を入れて一時的に耳管の通りを悪くする(耳管処置)、耳管に詰め物をする(耳管ピンの挿入)などがあります。
耳管狭窄症
耳管開放症とは逆に、耳と鼻をつなぐ管である耳管が狭くなってしまう病気です。耳の詰まり感が主な症状であり、鼓膜をみると極端に内側に凹んだ所見を認めることがあります。鼻から金属製の管を挿入して耳管経由で耳に空気を送る“耳管通気療法”が奏功する場合があります。症状が進行すると滲出性中耳炎を起こすこともあります。
耳性帯状疱疹
反復性多発性軟骨膜炎
聴神経腫瘍
聞こえを司る内耳神経という場所にできものが出来る病気です。症状の特徴は徐々に進行する難聴ですが、神経に炎症を起こすことにより、突発性難聴のように急激に難聴が進行することもあります。難聴を起こす疾患のなかでは稀な疾患であり、聴力検査を行うと中音域が最も悪くなる“谷型”の検査波形を示すことが1つの特徴ですが、最終的な診断には頭部MRI検査が必要になります。病気が見つかってもできものの大きさが小さい場合は手術を急がず、経過を見る場合もあります。
外耳道腫瘍
鼓膜より外側の外耳という場所にできものができる病気を外耳道腫瘍といいます。腫瘍の性質により様々な症状が現れ、主には耳のつまり感、聞こえの悪さ、耳の痛みなどの症状を起こしますが、単に指でさわると触れるだけというものもあります。できものの種類としては皮下血腫、肉芽腫、毛嚢炎、アテローム(粉瘤)、悪性腫瘍などがあり、様子を見るだけでよいものや、組織検査などの精密検査をお勧めする場合など様々なケースがあります。
外耳道癌
慢性中耳炎や経過の長い外耳炎などから発生することのある稀な疾患です。中高年者で見られ、若年者ではほとんど認められません。耳の痛みや耳からの出血、耳のつまり感などが主な症状です。組織検査を行うことにより診断がつきます。治療は手術が必要であり、病変部をすべて取り除く必要があります。

鼻疾患

急性鼻炎
いわゆる“鼻カゼ”の状態です。ウイルス感染などによる軽度の鼻水、鼻詰まりの場合は、鼻水止めや粘膜機能改善薬を用いて治療しますが、ばい菌感染などが合併し、色のついた鼻水が出はじめると、抗生剤を用いて治療を行う方が一般的に治りが早くなります。急性鼻炎が悪化すると急性副鼻腔炎に発展してさらに治りが悪くなる場合があります。クリニックで行えるネブライザー治療も、鼻腔内だけに高い濃度の薬を送ることができる、効果の高い治療法です。
急性副鼻腔炎
急性鼻炎が悪化し、鼻の奥にある副鼻腔にまで炎症が及び、鼻水、鼻詰まり以外におでこやほほに痛みが出てしまう状態をいいます。子供では鼻の中と副鼻をつなぐ仕切りが未発達であるために、大人と比較し急性鼻炎から急性副鼻腔炎になりやすい傾向があります。慢性副鼻腔炎と異なり、抗生剤や鼻水止めを使うことにより速やかに改善する場合が多いです。
慢性副鼻腔炎
副鼻腔炎の状態が3ヶ月異常継続する場合、慢性副鼻腔炎と呼びます。鼻水、鼻詰まりに加え、おでこやほほの鈍い痛み、鼻水が後ろから喉に落ちる(後鼻漏)などの症状が出ます。経過が長い分、急性副鼻腔炎と比較して治るのに時間がかかる事が多いです。抗生剤を通常の半分の量にして2、3ヶ月間連続して飲む治療(マクロライド少量長期投与療法)を行うことにより80%の方が治癒します。鼻茸があると慢性副鼻腔炎を薬だけで治すのは困難な場合があります。薬で根治出来なかった場合は、ネブライザー治療や抗生剤以外の薬で症状のコントロールを行ったり、手術療法が必要になります。
中には、好酸球性副鼻腔炎という気管支喘息をお持ちの方に多い難治性の副鼻腔炎もあります。嗅覚障害を主に訴え、ステロイド剤以外では薬が効かず、手術をしても完治が難しいことから難病指定疾患に指定されております。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎には、ある種のアレルギー物質(抗原)が原因で鼻水、鼻詰まりなどの症状が起きる場合と、原因物質が特定できず、気温や体調の変化に伴って症状が起きる場合があります。また一年中症状の続く通年性アレルギー性鼻炎や、スギ花粉症などのある特定の時期に症状が起きる季節性アレルギー性鼻炎があります。採血検査や生活習慣などから原因物質が特定できる場合は、その物質に接触しないようにすることにより症状のコントロールが出来る場合があり、アレルギー性鼻炎の重要な治療法の一つになります。抗アレルギー薬は効果が高い物ほど眠気が出やすい傾向がありますが、薬の種類は多岐にわたり、患者様それぞれにあった薬がありますのでご相談ください。
ここ最近では、舌下免疫療法と呼ばれる体質改善を促す治療もあり、当クリニックでは薬の効果が乏しく症状のつらい5歳以上のスギ、ダニアレルギーの方には、提案しております。スギ花粉症に対して、ゾレア®皮下注も行っております。
鼻出血
鼻の中は粘膜の比較的浅いところに太い血管があったり、乾燥により粘膜が傷付きやすかったりなどで、特に大きな病気がなくても出血を起こしやすい場所です。左右の鼻の仕切りである鼻中隔の前端部をキーゼルバッハ部位と呼びますが、鼻出血の90%はそこからの出血です。小鼻をつまんで圧迫したり、あまり頻回に繰り返す場合はガーゼを使った麻酔を行い、鼻の粘膜を焼くことにより止血を行います(電気凝固止血術)。また鼻水が出ていたりすると出血も起こりやすくなるため、鼻水の治療を行うことが鼻血の治療になります。ごく稀に血が止まりにくい病気の症状として現れることがあり、その場合採血による精密検査を行います。
薬剤性鼻炎
鼻詰まりに対して、粘膜の血管を収縮させる働きのある点鼻薬を使い続けることによって起こる病気です。この病気が発症してしまった場合は、血管収縮薬の使用を中止するか、使用薬を徐々に他の薬剤に切り替えていき、血管収縮薬の使用頻度を減らしていくことが必要なります。鼻詰まりに対しては、抗アレルギー作用のある飲み薬、ステロイド、血管収縮薬をうまく使い分けて治療を行う必要があります。血管収縮薬は鼻詰まりに対して最も即効性のある治療薬ですが、使用法にはバランスが重要であり、医師と相談しながらの治療が大切になります。
歯性上顎洞炎
奥から2、3番目の上の歯で虫歯(歯根部感染)を起こし、その炎症が上顎洞(副鼻腔の中で、ほほの裏側に当たる場所)に及ぶことで歯性上顎洞炎が発症します。虫歯の治療後に片側のほほが長期にわたって鈍く痛み、副鼻腔炎のような鼻水、鼻詰まり症状が継続することで病気が疑われます。治療は歯科治療のみでよい場合、耳鼻科治療のみでよい場合、両方の治療が必要になる場合と患者さんにより様々であり、歯科と連携して治療に当たる必要があります。
副鼻腔真菌症
鼻の奥にある副鼻腔にカビがついてしまい、慢性副鼻腔炎と同じ症状を起こします。レントゲン写真で炎症によってできた影の部分が極端に偏っていたり、鼻腔内にカビの塊を認めることによって診断されます。慢性副鼻腔炎と異なり、飲み薬での完治は一般的に難しく、手術療法によってカビを物理的に取り除く必要があります。副鼻腔真菌症を放置していると、やがて血管や周辺の組織内にカビがしみこんでくる浸潤性副鼻腔真菌症に発展することがあり、手術によって完全に治してしまうことが望ましい病気といえます。
鼻中隔弯曲症
左右の鼻を隔てる仕切りの部位を鼻中隔と呼びますが、それが極端に曲がり、鼻詰まりの原因となる場合を鼻中隔弯曲症と呼びます。鼻中隔は7、8割の人で成長とともに自然と曲がりますが、鼻詰まりなどの症状がない場合は特に治療の必要はありません。鼻中隔弯曲症が強く、高度の鼻詰まりがあり、薬の治療で十分な効果が得られない場合は、下鼻甲介にレーザーを当てて、鼻の空間を広げる治療を行うか、鼻中隔を矯正する手術療法が必要になる場合があります。
鼻腔異物
鼻内に異物が入り混んだ状態です。外耳道異物と同様に、子供が遊んでいて鼻の中におもちゃなどを詰め込んでしまうことがあります。痛みを訴えて周囲の大人が気づくこともありますが、気づかれずに数日間経過すると、鼻内で炎症を起こし、黄色い鼻水が出てくることもあります。耳鼻科で異物を摘出し、炎症が治まれば速やかに治ります。
嗅覚障害
嗅覚障害の原因としては、慢性副鼻腔炎などの鼻の慢性炎症に伴うもの、ウイルス感染による感冒など鼻の急性炎症に伴うもの、稀ですが脳に異常がある場合に起こるものなどに大別されます。原因によって治療法は異なりますが、鼻の炎症のコントロールや、においの神経を回復させる薬などを用いて治療を行います。
鼻前庭湿疹
鼻せつ
副鼻腔乳頭腫
鼻の粘膜でヒトパピローマウイルスと呼ばれるウイルスが感染を起こすことにより、鼻の中にできものを作ってしまう病気です。病気の初期ではあまりはっきりとした症状を起こしませんが、できものが徐々に大きくなってくると、鼻水、鼻詰まりや頭痛、鼻水に血が混じるなどの、慢性副鼻腔炎に似た症状を起こしてきます。レントゲン検査や鼻の組織検査で病気を疑うことができます。この病気が見つかった場合は、ごく稀に悪性化することがあり、手術療法による完全な除去が必要になります。
副鼻腔悪性腫瘍
鼻の奥にある副鼻腔でおこる悪性腫瘍です。耳鼻咽喉科領域の悪性腫瘍では比較的まれな病気になります。中高年以上の方で、片方の鼻から少量の鼻血が数週間以上に渡って出る時は、この病気も考えながら診察を行う必要があります。治療は手術療法、化学療法(抗がん剤)、放射線療法を組み合わせた治療(三者併用療法)が必要になる場合があります。
ウェゲナー肉芽腫症
自分の血管を自分自身の免疫系(ばい菌などの異物から自己を守るシステム)が攻撃してしまう一種の免疫疾患であり、鼻や耳、肺、腎臓に障害を起こします。鼻血や鼻詰まり、耳の詰まり感など、耳鼻科領域の症状がまず最初に現れやすいため、耳鼻咽喉科においても重要な病気の一つです。血液検査によりこの病気を高い確率で診断でき、薬の治療をしっかりと行えばほとんどの患者さんで病気の完治が期待できます。早期発見が大切な病気です。

のど疾患

急性咽喉頭炎
咽頭とは主に口のつきあたりの付近をさし、ばい菌をやっつけるリンパ組織が密集している場所です。そこでウイルス感染や細菌感染などにより炎症を起こし、その周囲が赤くなったり、腫れたりする病気を急性咽喉頭炎といい、広い意味での“のど風邪”となります。治療法は原因により多少異なりますが、ウイルス感染が疑われる場合は炎症止めなどの対症療法が中心になり、細菌感染が疑われる場合は抗生剤を使用する場合もあります。
急性扁桃炎
口蓋垂(のどちんこ)の両脇にある扁桃腺(口蓋扁桃)という組織が炎症を起こして腫れてしまう病気です。主には細菌感染により起こり、抗生剤を正しく使用することで改善する場合が多いです。急性扁桃炎が治療されずに悪化した場合、扁桃周囲炎、扁桃周囲膿瘍などの、さらに状態の悪い病気に発展してしまうことがあり注意が必要です。稀に抗生剤を使用することで症状が悪化してしまう扁桃炎(伝染性単核球症)もあるので、のどの所見から判断しての治療が必要になります。
慢性扁桃炎
急性扁桃炎を定期的に繰り返す状態を慢性扁桃炎(習慣性扁桃炎)といいます。治療法は急性扁桃炎に準じ、抗生剤などの治療が中心となりますが、慢性扁桃炎は日頃からのうがいなど、予防が大切になります。急性扁桃炎を年に3、4回以上、かつ半年以上継続して反復する場合は手術療法(口蓋扁桃摘出術)をお勧めする場合があります。手術により、のどの炎症の回数、程度を軽減させることができます。
扁桃病巣感染症
慢性扁桃炎などにより扁桃腺で炎症が繰り返されることにより、免疫系(自分をばい菌などから守るシステム)の異常を生じ、扁桃腺で自分自身の体を攻撃する物質(自己抗体)を作り出してしまう病気です。自己抗体が攻撃する場所により様々な病気を引き起こします(腎臓→IgA腎症、皮膚→掌蹠膿疱症、関節→胸肋鎖関節症)。扁桃病巣感染症では、口蓋扁桃摘出術を行うことにより、これらの病気の進行、悪化を抑えることができるといわれています。
伝染性単核球症
EBウイルスは一種の風邪ウイルスであり、ほとんどの方が幼い頃に感染を起こし、軽い風邪症状で済んだり、特に症状を起こさずに済んでしまいます(不顕性感染)。しかし大人になって初めてこのウイルスに感染すると、急性扁桃炎に似た強い症状を起こすことがあります。この病気にペニシリン系、セフェム系といわれる抗生剤を用いると、逆に症状を悪化させてしまうことがあり注意が必要です。治療は水分補給、粘膜改善薬などの対症療法でほとんどの方が治癒しますが、症状が強い場合は入院治療が必要になることもあります。
扁桃周囲膿瘍
急性扁桃炎が悪化し、扁桃腺の裏側に膿が溜まってしまった状態です。扁桃腺の奥にある咬筋(噛むための筋肉)にまで炎症が及ぶと口が開きにくくなります。この状態にまで悪化してしまうと扁桃腺の横を切って膿を出したり(咽頭切開排膿術)、点滴治療を行ったり、入院での治療をお勧めする場合があります。扁桃周囲膿瘍が悪化し、首の深い場所に膿が溜まったり(深頸部膿瘍)、胸にまで膿がおりてきた場合(縦隔膿瘍)、生命に係わる場合もありますので、しっかりとした初期治療が大切になります。
慢性咽喉頭炎
急性喉頭蓋炎
のどの奥の、気管と食道の分岐点にある器官を喉頭と呼びますが、そこで呼吸と食物の経路の分別弁として働くのが喉頭蓋です。急性咽頭炎と似た症状ですが、この病気の怖いところは、喉頭及び声帯が気道の一番狭いところであり、ここで炎症が悪化すると、周辺がむくんで呼吸困難を起こしてしまう可能性があることです。病気を早期に発見し、早めに対処してあげることが大切です。診断は喉頭内視鏡検査にて比較的簡単に行え、抗生剤を使用することによりほとんどの方が問題なく治ります。
舌炎
舌に炎症を起こした状態です。ピリピリと不快な痛みが生じたり、味覚障害の原因になることがあります。口腔内の炎症に続いて起こる場合や、鉄、亜鉛、銅などの微量元素、ビタミンBの不足で起こる場合、またストレスや喫煙が原因で起こる場合もあります。飲み薬やうがい薬で炎症の治療を行ったり、微量元素、ビタミン不足が疑われる場合は採血検査にて原因を特定し、不足しているものを補う治療を行います。
口内炎
口の中にできる小さな潰瘍で、食べ物などが触れると強い痛みが起こります。お子様の場合、手足口病、ヘルパンギーナ、はしか(麻疹)などの特殊な感染症で発症する事があります。また成人の場合、最も多い原因は体にかかるストレスであり、体調管理や栄養の十分な補給を行い、軟膏や口内炎を治す薬の内服を行うことで治すことができます。治りの悪い口内炎の中には天疱瘡、ベーチェット病などの病気が隠れている場合もあり注意が必要です。
口腔乾燥症
口腔内真菌症
口腔内には常在菌として、元々ある程度のばい菌、カビが存在しています。体調を崩したときや他の病気が引き金となり、口の中のカビの量が増えて白いカビの粘膜ができてしまった状態が口腔内真菌症(とくにカンジダが原因の場合を“鵞口瘡”といいます)です。生後2、3ヶ月までに起こる場合はカンジダの初感染によるものであり、そのまま様子を見て問題ありません。体調管理を行ってうがい薬などを使用したり、原因の病気に対する治療を行うことでほどんどの場合問題なく治ります。
味覚障害
味覚障害の原因は多岐にわたりますが、舌の炎症や微量元素、ビタミン不足で起こることが多く、採血検査による原因の検索が必要になることもあります。また味覚障害の大きな原因の一つに嗅覚障害があり、嗅覚障害の原因検索、治療を先に行う必要のある場合もあります。それ以外にも他の内服薬による味覚障害(薬剤性味覚障害)や、他の病気に引き続いて起こる場合などもあり、広い視点での診察、診断が大切になります。
扁桃肥大
口蓋垂(のどちんこ)の両側にある扁桃腺(口蓋扁桃)は、アデノイドとともに喉から体に入るばい菌を退治する第一関門として存在しています。7、8歳頃に大きさのピークを迎え、一般的にはその後縮小していきます。しかしながら逆に扁桃腺でばい菌を飼ってしまったり(慢性扁桃炎)、いびき、無呼吸(睡眠時無呼吸症候群)の原因となったりした場合、うけ口の原因となっている場合などは、デメリットが上回った状態として取り除く手術(両側口蓋扁桃摘出術)をお勧めします。ただ扁桃腺が大きいだけ(扁桃肥大)で悪さをしていない場合は手術を行う必要はありません。
アデノイド肥大
アデノイドは咽頭扁桃とも呼ばれ、鼻の突きあたり、口蓋垂(のどちんこ)の裏側にあり、扁桃腺(口蓋扁桃)と同じく、外から体の中に入ろうとするばい菌の第一関門として体を守る働きを持ちます。通常5、6歳をピークに退縮していきますが、アデノイドが異常に大きくなってしまうと睡眠時無呼吸症候群の原因になったり、ばい菌をやっつける働きがうまく機能せず、逆にばい菌を飼ってしまうことで、滲出性中耳炎の原因になることもあります。これらの病気が問題となっている場合、手術でアデノイドを削り取る手術を受けることが望ましい場合があります。
声帯炎
人は喉の奥にある、声帯と呼ばれるバイオリンの弦のような組織を高速で振動させることにより声を出しています。ノド風邪などによってのどに炎症を起こし、それが声帯の部分にまで及ぶと、声帯の粘膜がむくみ、振動が悪くなることにより声がれなどの症状を起こします。また例えば大声を出し続けることによっても声帯の粘膜は痛み、炎症を起こしてむくんでしまいます。飲み薬や吸入薬などにより、声帯のむくみを取ったり、声帯を極力動かさずに安静を図る、つまり声を出さないことが治療になります。
声帯ポリープ
声を出す器官である声帯の粘膜がはれてしまい、その一部がポリープ状に盛り上がり、声枯れを起こしてしまう病気です。声の使いすぎや、喫煙が原因となることがあります。病気の初期ですと声の安静や粘膜機能改善薬の使用で改善する場合もありますが、長期にわたって声帯ポリープがある場合は、手術治療が必要になります。手術により声枯れは速やかに改善する場合が多いです。
声帯結節
指にできるタコと同じように、声帯を酷使する(大声を出し過ぎる)と、声帯にもタコができます。それが声帯結節です。治療方針は、これも指にできるタコと同じで、できてしまったばかりの時は、声を極力出さず、声帯の安静を心がけ、炎症止めの薬を使うことで消えてしまうことがありますが、あまりに長い間ある場合は、自然にはなくならず、手術による切除が必要になります。
喉頭異物
喉頭アレルギー
喉頭(のどの奥の部分)でアレルギー症状を起こすことにより、のどがかゆくなったり、異物感が出たり、乾いた咳が続く病気です。花粉症の時期に鼻水、鼻詰まりなどの鼻症状と同時に、これらののどの症状が出た場合、この病気が疑われます。抗アレルギー薬を使用すると比較的速やかに症状がなくなり、またそれにより診断が可能となります。
咽喉頭異常感症
広い意味ではのどに違和感を感じてしまう病気全般のことをいいます。原因は多岐にわたり、急性咽頭炎後の症状、慢性副鼻腔炎の後鼻漏によるもの、逆流性食道炎によるもの、喉頭アレルギーによるもの、甲状腺の病気(甲状腺腫瘍など)によるもの、心理的な要因によるもの(身体表現性障害)などがあります。よってまずは原因を見極めることがとても大切です。心理的な要因によるものは狭い意味での咽喉頭異常感症と呼ばれ、治療には診療内科的アプローチを要します。
唾石症
唾液を作る唾液腺の出口部分に石ができてしまい、食事などをきっかけとして唾液の流れが妨げられ、唾液腺が腫れ上がってしまう病気です。唾液腺には耳下腺、顎下腺、舌下腺の3種類がありますが、唾石症はほとんど顎下腺で起こります。石が小さな場合は自然排石が期待できる場合もありますが、石のサイズがある程度大きく、高頻度に唾液腺が腫れる場合は、石を取り除く手術、あるいは唾液腺を取ってしまう手術が必要になります。
喉頭肉芽腫症
喉頭(のどの奥で気管と食道の分岐点にある器官)内の声帯に近い場所で、炎症が原因で起きるできものです。声がれやのどの違和感として症状が現れます。発症する理由はその多くが原因不明ですが、逆流性食道炎が原因でなることがあります。手術でできものを除去しても半分の確率で再発してしまうため、あまり積極的に手術は行われません。飲み薬での治療で改善する場合もありますが、中には治りの悪い場合もあり、その場合は経過をよく見ていく必要があります。
逆流性食道炎
胃液が食道を伝って喉の方に逆流し、ゲップが出たり、胸焼けがしたり、酸っぱい胃液が口の中に入ってくる(呑酸)などの症状が起こる病気です。耳鼻咽喉科領域においても咽喉頭異常感症の原因となることがあり、重要な疾患のひとつとなります。この病気は問診(逆流性食道炎Fスケール問診票)により高い確率で疑うことができ、胃薬を飲んで症状が改善した場合、診断が確定することになります(診断的治療といいます)。一度にたくさん食べ過ぎない、寝る直前に食事をしないなど、食生活の改善だけで治る場合もあります。
シェーグレン症候群
反回神経麻痺
反回神経という声を出す神経が麻痺し、声が枯れてしまう病気です。喉頭内視鏡検査で片側の声帯が動かないことで病気が疑われます。反回神経は脳から出て、一旦心臓の高さまで降りて、そこから再度頭部方向に向かって上ぼり(反回し)、声帯に到達するという特殊な経路をとります。そしてその途中で神経が何らかの理由(甲状腺腫瘍、肺がん、食道がん、動脈解離など)で傷害されることでこの病気が起きるため、それらの病気がないか調べることが必要になります。
舌癌
喫煙量や飲酒量の多い、中年以降のやや男性に起こりやすい病気です。口内炎の場合はあれた粘膜の範囲が小さくても鋭く痛んだり、炎症部位が柔らかいことが特徴ですが、舌癌の場合は組織が硬くなり、見た目と比較して痛みが少ないことが特徴です。また口内炎と違い徐々に大きくなってきます。早期に発見された場合は完全に治してしまうことのできる病気ですので、心配な場合は専門医に診てもらいましょう。組織の一部をとって調べることで診断が可能です。
喉頭癌
のどの奥の、喉頭と呼ばれる組織にできる癌のことです。この病気は舌癌と同様、飲酒量や喫煙量の多い中年以降の男性に起こりやすい病気です(ほとんど男性に発症し、女性ではまれです)。声枯れ、のどの違和感、飲み込みづらいなどの症状が現れます。喉頭内視鏡検査を行うことにより、比較的簡単にこの病気を疑うことができるので、心配な場合は耳鼻咽喉科専門医に受診して下さい。この病気も早期に発見し、しっかりと治療(手術療法、放射線療法、化学療法など)を行うことで完全に治ることが多い病気であり、何よりも早期発見が大切です。

顔・首

顔面神経麻痺(ベル麻痺)
顔を動かす神経(顔面神経)において炎症による一時的な障害が起きることにより、顔が動かしにくくなる病気です。顔面神経麻痺のうち水痘・帯状疱疹ウイルスによるものをハント症候群(Hunt症候群)とよび、それ以外をベル麻痺(Bell麻痺)とよびます。ベル麻痺の原因は何らかのウイルス感染によるものである場合が多いといわれていますが、はっきりとした原因は不明です。ベル麻痺は一般的に治りやすい病気ですが、麻痺の程度が重症であったり、高齢者、糖尿病などの合併症がある場合などは治りが悪いこともあります。
ハント症候群
水ぼうそうや帯状疱疹の原因ウイルスである水痘・帯状疱疹ウイルスは、ほとんどの人が小児期に感染し、潜伏感染(症状は起こさないが体の中にいる状態)となります。それが体調を崩したことなどをきっかけとして再度活性化し、体の症状を起こすことにより発症します。皮膚の症状だけを起こした状態を帯状疱疹と呼び、帯状疱疹以外に難聴や顔面神経麻痺を伴った状態をハント症候群と呼びます。抗ウイルス薬やステロイドを用いて治療を行いますが、ベル麻痺(Bell麻痺)と比べて治りがやや悪いので、早期の治療が大切になります。
急性耳下腺炎
流行性耳下腺炎
ムンプスウイルスというウイルスによる感染性の耳下腺炎です。この病気は高い感染力を持ち、感染が疑われるときは学童の場合は登校の禁止、家庭ではタオルを分ける、お風呂は最後に入るなどの感染予防対策が必要になります。この病気は稀にムンプス難聴と呼ばれる難治性の難聴を惹き起こすことが知られており、あらかじめ予防接種を行っておくことが勧められます。治療は炎症止めや熱冷ましなどの対症療法が中心となります。
亜急性甲状腺炎
炎症性リンパ節腫脹
体にはリンパ節といって、体をばい菌から守り、免疫に関する成分を作る組織が点在しており、リンパ節内で感染が起こると大きく腫れ上がります。耳や鼻、のどで感染を起こすと、その部位での炎症は首にあるリンパ節がよく関与するため、首のリンパ節は腫れやすくなります。また子供ではリンパ組織が未熟であるため、大人以上にリンパ節は腫れやすくなっています。リンパ節が腫れること自体はよくあることですが、数週間以上腫れが続いたり、徐々に大きくなってくる場合は他の病気の可能性もあり、心配な場合は一度専門医で診てもらいましょう。
亜急性壊死性リンパ節炎
血液検査でばい菌感染の値を示さない(白血球値が上昇しない)にもかかわらず、首回りのリンパ節が数週間にわたり炎症を起こしたように痛みを伴って腫れてしまう病気です。原因はウイルス感染と考えられていますが不明な部分も多い病気です。まずは他の疾患でないか見極めることが大切ですが、この病気が疑われた場合は炎症止めや、場合によってはステロイド剤を使用することで数週間の経過で治癒します。
深頸部膿瘍
主に扁桃周囲膿瘍が悪化して、のどの奥にたまった膿が首の高さまで降りてきてしまう病気です。扁桃周囲膿瘍の後に首が痛くなったり、赤く腫れ上がるとこの病気が疑われます。少なくとも入院による点滴治療が必要な状態であり、膿の量が多い場合は、手術で膿をだす治療が必要になります。この病気がさらに進行すると、心臓の周囲にまで膿が降りてくる縦隔膿瘍と呼ばれる状態になり、生命に係わる場合もあります。
三叉神経痛
頸部腫瘍
正中頸嚢胞
側頸嚢胞
耳下腺腫瘍・顎下腺腫瘍
耳の下にある耳下腺や、顎の下にある顎下腺の中にできものができる病気です。これらのできものは、さらに数種類(多形腺腫、ワルチン腫瘍、癌など)に分類されます。良性のできものであっても癌などに変化しやすいものもあり、これらのできものが見つかった場合はMRI検査、細胞診検査(できものに針を刺して中の細胞を調べる検査)などを行い、様子を見ていて良いものなのか、手術で取り除くのが好ましいものなのかを見極める必要があります。
甲状腺腫瘍
首の前面にあり、代謝に関係するホルモンを出す臓器を甲状腺といいますが、その中にできるできものを甲状腺腫瘍といいます。甲状腺腫瘍は小さなものを含めると6人に1人の割合であるといわれており、そのほどんどが悪さをしない良性のものです。しかし中には異常にホルモンをつくってしまったり、悪性のものも稀に存在するため、甲状腺腫瘍が疑われた場合は、超音波検査や甲状腺内の細胞の検査(細胞診検査)などを行い、心配のないものか判断する必要があります。
頸部リンパ節癌
体のどこかに悪性のできものがあり、それが首にあるリンパ節に転移したものをいいます。頸部リンパ節癌を最初の症状として癌が見つかることもあります。炎症性リンパ節との違いは、炎症性リンパ節に比べて痛みが少ない、硬い、大きい(2cm以上)、触ったときに周囲の組織とくっついていて動きが悪い、などがあります。

睡眠時無呼吸症候群

夜中に呼吸が止まったり(無呼吸)、呼吸の量が減り、血液中の酸素量まで減る(低呼吸)ことを睡眠中に何度も繰り返してしまう病気です。この病気の多くの人がいびきをかき、また日中に強い眠気を感じやすくなります。この病気の怖い所は脳梗塞、心筋梗塞などの生命に係わる合併症が起こりやすくなる事であり、また高血圧、糖尿病、高脂血症にも罹りやすくなります。治療法はCPAP療法、手術療法、マウスピース、減量、側臥位枕の使用などがあり、適切な治療法を選択すれば合併症の発症を予防することができます。